自由のギフト
考える。
考える。
考える。
これからどうしよう。
まず帰り道。
コンビニで求人誌。
駅でフリーペーパー持って帰って。
雇用保険ってどうやって使うんだ。
ハローワークって休日やってたっけ。
あ~・・・・・・。
考える事が面倒くさくなってきた頃、家の前に着いた。


鬱陶しい。


自分も、仕事も、お金も、生活も、社会も、考える事も、全てが嫌だ。

ハァ。

ガチャ。
玄関の前でため息がこぼれた。

!?。

鍵を開けたはずなのに、ドアが開かない。
ガチャ。
もう一度、鍵を廻す。
行く時に閉め忘れたかな、今までそんな事なかったのに。
嫌な日だ。
「ただいま。」
誰もいないけど習慣ってのは恐ろしく、つい声に出してしまう。
「お帰り~。」
え?
動きが止まる、背筋がゾっと冷たくなる。
足の先から頭の先まで鳥肌が電流みたく 行ったり来たりする。
玄関から真っすぐに廊下が延びリビングルームのドアにぶつかる。
その声は間違いなくそちらの方から聞こえた。
一瞬部屋を間違えた と思ったが見渡しても間違いなく自分の部屋の玄関だし、鍵だって使えたから間違いない。
泥棒!?
が返事するわけないし、子供の声だったようなぁ~って事はオバケ!
子供のオバケ!?
止まっていた動きを物音をたてないようそぉ~と靴を脱ぐ、鞄もそぉ~と置いて、そぉ~と立て掛けてあった傘をぎゅぅ~と力いっぱい握った。
子供でもオバケはオバケ、心細さと恐怖で足がすくむ。
大丈夫 大丈夫 大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫・・・・。
やれる やれる やれるやれるやれるやれる・・・・。
何が大丈夫で何がやれるのかわからないが、自分を奮いたたせ、一歩踏み出そうとしたとき。
カタッ。
前方のドアのトッテが下を向く、金縛りにあったように一瞬で全ての動きが止まった。
そして開きはじめたそのドアを凝視する。
恐怖と緊張でその時、映像はスローモーションみたく流れるのが遅かった。
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