モテ男と地味子の初恋物語
「それは…紬は遠慮してると思ったからだよ。姉貴は家で遠慮なんかしないだろ?」

「ふ〜ん、そういう事にしておいてあげるわ」

「何だよ? 言いたい事があるならはっきり言えよ」

「こらこら、二人とも。お客様の前で喧嘩はだめでしょ?」

すかさずお母さんが二人を叱ったけど、なぜかその顔はニコニコと満面の笑顔だった。

「雨宮さんは、琢磨と同じクラスなの?」

お母さんは明らかに私に向かって聞いていたので、答えようと思って私が口を開きかけたら、「クラスは違う」と桂木君が先に答えた。

「紬も2年だけど3組で、俺は1組」

お母さんは桂木君に目をやり、「そうなの?」と言った。その目が、ちょっとイラっとしたように見えたのは、私の気のせいだろうか…
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