モテ男と地味子の初恋物語
紬が怒ってもなぜ俺は嫌にならなかったか…

1回目にあいつが怒ったのは、俺があいつの肩に手を置いた時で、俺を突き飛ばして下から睨んでたよなあ。

あの時は俺の想定外で、呆然としてたら紬の手から血が垂れてて、嫌とか嫌じゃないとか考える暇がなかった。

2回目は保健室で、俺が騙して消毒した時だ。

あれは俺が悪かったというか、紬が怒るのは予想してたからな…

「おい、まだ分からないのか? そんなに悩む事じゃないだろ?」

「ちょっと待ってくれよ。ひとつひとつ思い出してるんだからさ…」

「やれやれ…」

何が『やれやれ』だよ。自分で考えろと言ったのは圭介じゃねえか。

3回目は授業をふけて公園に行った時で、確か『不良になっちゃった』とか言って俺を睨んだっけ。

あれは紬も本気で怒ってなかったし、恐いよりむしろ可愛い顔してたしな。
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