モテ男と地味子の初恋物語
しばらく走って、私のアパートに着いた。

もう着いちゃった…

結構時間が掛かったはずなのに、私にはむしろ短く感じ、もっとこうしていたいのに、と思った。

自転車を降りたらお尻が痛かったから、実際は長かったんだけど。

「ありがとうございました」

「おお。ケツ痛くないか?」

「実は、少し…」

「やっぱり、バスの方が良かったか?」

「ううん、そんな事ないよ。早く帰れて助かりました」

「そうか? それは良かった」

「今日はいろいろとありがとうございました」

「いろいろ?」

桂木君は何かを考えるような表情をした。今日あった事を思い出してるのかな。私と同じように。
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