モテ男と地味子の初恋物語
「今のは…挨拶だから」

「挨拶?」

「そう。洋風の挨拶。何て言ったっけ? こう、抱き着くやつ」

桂木君が両手を広げて抱きしめるジェスチャーをした。

「ハグ?」

「そう、それそれ。な? そういう事だから、バイバイ」

そう言って、桂木君は片手を挙げてバイバイをした。

「バイバイ」

私も手を挙げてバイバイをし、アパートの階段を上がり、部屋の前で下を見たら、桂木君は自転車に跨がって私を見ていた。

もう一度バイバイをしたら、桂木君はドアを開ける仕種をした。

私が鞄から部屋の鍵を取り出し、部屋のドアを開けて桂木君を見たら、『じゃっ』って感じで手を挙げ、自転車を漕いで帰って行った。
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