モテ男と地味子の初恋物語
「つむ、泣かないで?」

お母さんが、私の耳元で優しく声を掛けながら、頭を撫でてくれた。

「さっきは言い過ぎたけど、つむの事を思ってなの。私にはつむしかいないの。つむに幸せになってもらう事だけが、私の願いなのよ。それだけは分かってね?」

私はしゃくり上げながらも、コクっと頷いた。

「つむも恋したい年頃よね? それくらい、私だって知ってるのよ。でも、女は恋をすると、他の事がおろそかになるものなの。だからつむには、せめて大学に入るまで恋はしてほしくなかったなあ。

彼氏は、どんな男の子なの?」

「彼氏じゃないもん」

「そうなの?」

「桂木君は格好よくて、優しくて、学校で一番モテて、私なんか…。だから心配なんか要らない」
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