モテ男と地味子の初恋物語
「俺は『昨日』と言ったのに、わざわざ『昨夜』と説明してくれるとは、親切なこって」

「う……」

「もう紬ちゃんに手を出すとは、さすが色男。やる事が早いねえ」

「そんな事するか!? 送ってっただけだ」

「市の南から北まで自転車漕いでか。ご苦労さんだな」

「う、うるさい」

「別れ際にチュウでもしたか?」

「するか!」

「なんだ、ハグだけか…」

「見てたのか?」

「やっぱ、したんだ?」

「おまえなあ…」

「自転車って事は、紬ちゃんを家にご招待したわけだな。家族公認だし、こりゃもう、あれだな」

「『あれ』って何だよ?」

「さあ、何だろうな?」

圭介には敵わねえな…。全部ばれちまった。
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