モテ男と地味子の初恋物語
「あの…桂木君?」

「はい?」

紬がいなくなると、米山明日香の様子が急に変わった。頬を赤らめ、俯き気味にしている。

これは、もしかすると…

「あたし、1年の時からずっと桂木君の事、好きなんです」

やっぱりこれか…
紬はこれが分かってて、俺をここに呼んだって事か…

「…付き合って、くれませんか?」

「気持ちは嬉しいんだけど、今は誰とも付き合いたくないんだよね。悪いけど」

それは俺の本心だった。なぜかは分からないが、全くそういう気分じゃなかった。

「そうですか…」

米山明日香の顔が悲しげに沈んでいく。たぶん、もうすぐ涙を流すだろうな。俺はこういうのは経験豊富だから、よく分かるんだ。

ん?
< 168 / 268 >

この作品をシェア

pagetop