モテ男と地味子の初恋物語
頭を誰かに撫でられる感触がして、目をゆっくり開けると、目の前に小枝子の整った顔があった。

「部屋が真っ暗だったから、帰っちゃったのかと思ったわ」

俺は眠っていたらしい。

「嫌な夢を見てたの?」

「え?」

「うなされてたから…」

小枝子は俺の顔に顔を寄せ、目の横をペロリと舐めた。

「何?」

「涙の跡が付いてる」

小枝子の熱い吐息が顔に掛かり、ルージュで紅い唇が俺のそれに触れ、強く押し付けてきた。

小枝子の舌が俺の唇をこじ開け、まるで生き物のように俺の口の中を動き回っている。

俺が小枝子のディープキスに応えないでいると、小枝子の寂しげな顔が、俺の顔から離れていった。
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