モテ男と地味子の初恋物語
「フー、ごちそうさま」

「食欲がないとか言いながら、完食ね。野菜も残さなかったし、偉い偉い」

そう言って小枝子は俺の頭に手を乗せた。

「よせよ。俺を子供扱いすんな」

「琢磨はまだ子供よ。体だけは一人前だけどね」

小枝子は俺が食べたドンブリを持って流しに行き、「コーヒー煎れるね」と言った。

俺は何とはなしに壁のカレンダーに目をやり、今日が月曜という事を思い出した。

「小枝子! 今日は劇団の練習がある日じゃなかったっけ?」

「いいの」

「いいのって…。俺帰るからさ、今から行けよ」

「もう遅いから、今夜はサボり」

「いいのかよ、サボって?」

「今更遅い!」
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