モテ男と地味子の初恋物語
小枝子の表情が、見る見る曇っていった。

しまった…

小枝子には言わないつもりだったのに…

「ごめん」

「どうして謝るの?」

「小枝子に悪いかなと思って…」

「琢磨は変わったね」

「え?」

「大人になっちゃったのね」

「どういう事?」

「今までの琢磨は、言いたい事は何でも言ってた。私の気持ちなんか考えずに。でも今日の琢磨は、私の気持ちを考えてくれてる」

「そうかな?」

俺は少し照れて笑ったかもしれない。

「私は…前のままでいてほしかった」

「え?」

「私を好きになってくれないなら、子供のままでいてほしかった」

小枝子の目が涙で潤み、やがて溢れて頬を一筋流れて落ちた。
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