モテ男と地味子の初恋物語
みんなの視線を感じながら、私は慌てて鞄からお弁当を取り出した。

首から上が火照るように熱い。きっと今、私は真っ赤な顔をしていると思う。

お弁当を持って教室を出る時、「ヒューヒュー」と、男子達の囃し立てる声がした。

もう…恥ずかしいなあ。


俯きながら片山君に着いて行くと、靴を履き替えて校舎を出た。そして、進む方向の先は、中庭…?

「片山君、ちょっと待ってください」

私は歩みを止め、片山君を呼び止めた。

「どうしたの?」

そう言って片山君は振り向き、私の目の前まで戻って来た。ちょっと近過ぎるくらいに。

私は少し後退りながら、「中庭はちょっと…」と言った。
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