モテ男と地味子の初恋物語
「どうして? 中庭はいい感じで木の株とかあって、昼飯を食うのにちょうどいいよ。天気もいいしさ」

そう言いながら、片山君はジリジリと私に近付いて来る。

「でも…」

中庭だけは絶対に嫌だけど、その理由をうまく言えずにいると、片山君に腕を強く握られてしまった。

「グズグズしてると座る場所がなくなっちゃうかもだからさ、早く行こうよ」

そう言って片山君に強引に引っ張られてしまった。前に桂木君にされたみたいに。

抵抗しても無駄な気がして、私は諦めて片山君に着いて行った。

「あの、腕を放してもらえますか?」

「え? ああ、紬ちゃんに逃げられると困るからダーメ」

「そんな事しません」

そう言ったのに、片山君は腕を放してくれなかった。
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