モテ男と地味子の初恋物語
「お、先客がいた」

見ると一組の男女が、木の下に座ろうとしているところだった。その二人は、私が思った通り、明日香と桂木君だった。

だから、ここには来たくなかったのに…

「よお、琢磨。奇遇だな?」

「圭介、おまえ…。じゃあ、あれは…」

「そういう事だ」

そういう事って、どういう事?

「紬、あんた片山君と…、えーっ!」

ああ、もうやだ。
私は明日香と桂木君の顔を見られなくて、下を向いていた。

「じゃあな。おまえらの邪魔はしないように、俺らはあっちに座るわ」

あっちと言われても、下を向いてる私にはそれがどっちか分からないので、片山君に腕を引かれるままに、別の木の下へトボトボ歩いて行った。
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