モテ男と地味子の初恋物語
「紬、あんた片山君と…、えーっ!」

と、明日香が素っ頓狂な声を出した。

親友の明日香が知らなかったという事は、紬達は付き合いだしてすぐ、って事だよな?

圭介も『まだ彼女じゃねえ』って言ってたし。

しかし…

『落とす自信はある』とも言っていたのを思い出した。

紬が圭介に組み敷かれる姿を想像したら、悔しさで胸が掻きむしられる思いだった。

何なんだよ、この気持ちは。
もしかして、嫉妬か?
つまりこれが、ヤキモチってやつなのか…?

「じゃあな。おまえらの邪魔はしないように、俺らはあっちに座るわ」

紬は圭介に腕を引かれるままに、おとなしく歩いて行った。ずっと下を向いたままだから、どんな顔をしていたのかは分からない。

俺はそんな紬を、ただ茫然と見送るしかできなかった。
< 232 / 268 >

この作品をシェア

pagetop