モテ男と地味子の初恋物語
「おい、酷いじゃねえか。急に…」

文句を言いながら明日香に視線を戻すと、明日香は背中を丸めてうずくまっていた。

「どうしたんだよ?」

怒りを抑えて声を掛けたら、「琢磨こそ酷いよ」と、明日香は涙声で言った。

「何が?」

「あたしの事見てくれないし、話も聞いてくれないし、お弁当だって、今日のはかなりがんばって作ったのに…」

やっちまった…

また女を泣かせてしまった。いくら紬が気になってたからって、俺の態度は明日香に酷すぎたよな…

これじゃ、以前の俺と何も変わってないじゃねえか。変わろうと心に決めたのに…


「明日香、確かに俺が悪かったよ。だからさ、泣かないでくれよ。な?」

俺は謝りながら、明日香の背中を摩ってやった。
< 236 / 268 >

この作品をシェア

pagetop