モテ男と地味子の初恋物語
「いや、それはない」

「そこのところはハッキリ言うのね? 傷つくな…」

「ごめん」


昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。

「戻ろうか?」

「おお」

まだ座ったままの紬と圭介が気になったが、俺達は中庭を後にした。


「さっきの、あたしのファーストキスだったんだ…」

「え? いいのかよ、あんなんで」

「あんな、なんて言わないでよ。あたしの大事な思い出なんだから…」

「そうか…ごめん」

「謝らないでいいよ。短い間だったけど、思い出をありがとう」

「こちらこそ」

「またまた、心にもない事を…」

「そんな事ないって…」

明日香って、いい奴だったんだなあ。さすが、紬の親友だけの事はあるな、と俺は思った。
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