モテ男と地味子の初恋物語
「あ、すみません、柏尾先輩」

「『俺が悪かった』って、そんなんで謝ってる事になるわけ?」

「ごめんなさい」

俺は郁美、いや柏尾先輩に深々と頭を下げた。

「許してくれますか?」

「ん…いまいち、そんな気になれないわね」

「じゃあ、殴ってください。思いっきり」

俺は柏尾先輩に顔を突き出した。

「そんな事、急に言われたって、出来るわけないじゃない」

「じゃあ、別れる時に俺が言った酷い言葉を思い出してください」

「え? ん…」

と柏尾先輩は、あの時の事を思い出しているようだったが…

「怒ったり泣いたりする女は嫌いだって? 女を何だと思ってんのよ、バッキャロー!」

バキッ

という音と共に、目から火花が飛んだ。
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