モテ男と地味子の初恋物語
《紬side》

今、大好きな桂木君が、私に向かって真っ直ぐ歩いて来ている。

これは夢? それとも幻?

でも、夢や幻にしては、桂木君の顔の傷がリアル過ぎる。

遠くからは見ていたけど、近くで見ると思ったより傷が多く、酷い。

桂木君が可哀相で、涙が出そうだった。

片山君がスッと立ち上がり、離れた所で二人は何かを話し始めた。
何を話してるんだろう…

「ねえ紬、桂木君の顔を見た? はっきり言って、格好悪いね?」

「そんな事ない! そんな事言ったら、彼が可哀相…」

「紬、何で泣いてるの? え? もしかして、あんた桂木君の事…」

「好きよ」

言っちゃった…
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