モテ男と地味子の初恋物語
公園には誰もいなかった。
落ち葉が風に吹かれ、カサカサと地面を転がる音がしていた。

俺達はベンチに並んで腰掛けた。

「静かだな…」

俺が呟くと、紬も横で頷いていた。

俺の気持ちもこの公園のように静かだった。さっきは何であんなに腹を立てたのか、自分でも不思議だった。

「私、初めてだな…」

紬が呟いた。
俺が「ん?」と紬の顔を覗くと、「授業をサボったのは」と言い、俺を叱るような目で見た。

「ごめん」

「ううん、いいの」

「え?」

「こんな経験も、あってもいいかなって思うから」

そう言って、紬は穏やかに微笑んだ。

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