モテ男と地味子の初恋物語
「桂木君は? 初めてじゃないんでしょ?」

「ああ。結構多いな」

「不良なのね?」

「紬は優等生だな?」

「昨日まではね」

「はは。なるほどね」

俺は紬の手から缶を取り、プルリングを開けて紬に渡した。

「冷めない内に…」

「ありがとう」

自分のも開けて、コーヒーを一口飲んだ。
温かさと、甘さと、少しのほろ苦さが口の中に広がった。

紬も一口飲み、「美味しい」と言った。


「もう…怒ってない?」

「ああ。さっきは悪かったな? 何で俺、怒ってたんだろ…」

「私が桂木君にパーシーの事を聞かなかったからでしょ?」

「まあ、そうなんだけどさ…」
< 72 / 268 >

この作品をシェア

pagetop