モテ男と地味子の初恋物語
私が廊下を歩いていると、女子達にジロジロ見られた。
中には指を指し、コソコソ内緒話をする子もいた。

私は俯きながらトボトボ歩き、廊下の角に差し掛かった所で、「雨宮っていうらしいよ」と言う声が聞こえ、思わず立ち止まった。

「琢磨様のタイプじゃないらしいね?」

「タイプどころか、チビで眼鏡でブスらしいよ」

「な〜んだ、全然心配する事ないじゃん」

「もし、シツコク琢磨様に纏わり付くようなら、シバかなくちゃね?」

「だね?」

女子達は笑い、その声は遠ざかっていた。

私はその女子達に怒りを感じつつ、頭を思い切り殴られたような気がした。

桂木君の好きなタイプ…

桂木君の元カノ達の顔を、私が知る限り思い浮かべてみた。みな美人か、可愛い顔をしていた。一人の例外もなく。


私は心の片隅に抱いていた淡い期待を、自ら消し去るほかなかった。そう。私ははっきり桂木君に惹かれていた。
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