手紙〜高校受験〜
「ねぇねぇ。アユ〜ッ」

「やめてよ!!!」


自分で驚いた。
知世があたしのことを「アユ」と呼んだだけなのに…
「アユ」は飛駆があたしを呼ぶ時の名前…。
そんな想いからか、大声をあげてしまった。


昼休みの賑やかな教室が静まった。
実梨と周りのみんなのびっくりした目があたしの方を見ている。


「どうしたの…?ちぃ、なんか悪いこと言っちゃったかな?…ごめんね?」


周りからみるとどう見たって
あたしが悪い魔女で知世が可哀相なお姫様。


あ〜あ。だからあたしはダメなんだ。
どうも知世の自分のことを「ちぃ」と呼ぶのも許しがたい。



あたしはこの場をどう切り抜けるか考えた。



< 13 / 50 >

この作品をシェア

pagetop