箱
それでも私たちは何とかその場を去った。
「どうしよう。辞めたら」
「何されるか、わかんないよ」
刻々とバイトの時間が近づいてくる。
「もう、行きたくないよ」
「でも。行かなきゃ」
そしてバイトに行く時間が来てしまった。
足取りの重い二人。
着いてすぐ。
課長がいつもと違うのに気づいた。
「小箱が開いていたという苦情があった」
二人の足はガクガク震えていた。
「美紀ちゃんが梱包した分だよね」
課長の目が光った。
「美紀ちゃん……中を見たね」