花束をキミに・・・
二十年後。
Aは五人目の赤ん坊を背負って買い物をしている処をBに目撃された。
彼は店の中。
Bは表のルーフを開けた、フェラーリを模した軽量化抜群のECOカーで、ドライブスルーの注文票を見ていたところだ。
二人の再会はまるっきりの偶然だった。
Aは目を反らしたがBは「おめでとう」と乗り物から降りてきて手を打ちならし、Aの子供の頭をなぜた。
赤子はAの背中ですやすやと気持ちよさそうに眠っている。
「イヤミなのか? 自分は高いクラシカルモデルのオープンカーで、隣に女を乗せて。馬鹿にしてんじゃねーぞ」
「馬鹿になぞしていない。あれは中古だ。ハリボテだしな。おめでとう。おまえの遺伝子が喜んでいる」