花束をキミに・・・



二十年後。
 


Aは五人目の赤ん坊を背負って買い物をしている処をBに目撃された。



彼は店の中。



Bは表のルーフを開けた、フェラーリを模した軽量化抜群のECOカーで、ドライブスルーの注文票を見ていたところだ。



二人の再会はまるっきりの偶然だった。
 


Aは目を反らしたがBは「おめでとう」と乗り物から降りてきて手を打ちならし、Aの子供の頭をなぜた。



赤子はAの背中ですやすやと気持ちよさそうに眠っている。



「イヤミなのか? 自分は高いクラシカルモデルのオープンカーで、隣に女を乗せて。馬鹿にしてんじゃねーぞ」



「馬鹿になぞしていない。あれは中古だ。ハリボテだしな。おめでとう。おまえの遺伝子が喜んでいる」



< 11 / 23 >

この作品をシェア

pagetop