花束をキミに・・・
Aの背中でその赤子が泣き始めた。
「は! この不況で、何度目かの給付金でガツガツ稼いでやったよ。ざまあみろだ。おー、よしよし」
Bは、申し訳ない、と言うように、帽子を脱いだ。
ふっさふさの黒髪の後れ毛が風にそよいだ。
「この子が二万円稼いだのか。オレは二百万円でハリボテECOカーを入手したが、未だに子を産ませてもいいという女は見つからん」
Bは今から老後をどう送るか算段中だ、とおどける。
変わったな、とAは思う。
「タイへゆけ、まるで王様みたいになれる」
「飽きたんだ、それは」
Bときたら、相変わらず王様気分が抜けてない。
Aには以前のような覇気はなかった。