花束をキミに・・・
惚れた弱みのようなものを見せまいとしているんじゃないか、Aはそんな風にも勘ぐってもみた。
「彼女でもか。難儀だな」
「ああ、難儀だとも」
「はかなくなってく、おまえの遺伝子によろしく」
「やれやれ、これだから大昔の知人というものは困るよ。無粋で人の心にずかずか上がり込もうとする」
「結局、おまえの言ったとおりになっちまったけど……俺はこれで満足してるぜ」
Bはパンパン、と拍手した。
「おめでとう。今は君が勝者だ。君の遺伝子を愛してくれた細君にもよろしく」
「女じゃねーけどな」
Bの表情は凍り付いた。
「その趣味はいつ頃からだ」