2番目のオンナ。〜アナタのパートナーは大丈夫?〜
彼は入籍した翌日からしょっちゅうあたしたちのアパートに来た。
たまに土日の休みには朝早くから来たりする。
スーツ姿でびしっと決めて「出勤してきましたー」なんて笑って。
奥さんには「休日出勤」なんて嘘吐いて。
「もうお腹おっきくなってきた?性別とか分かったの?」
あたしが奥さんの事やお腹の赤ちゃんの事を聞くと嫌そうな顔をする。
「うーん…でかいよ。なんつーか不思議、性別はたぶん男の子って」
「男の子かあ…いいなー」
つい”いいなー”と口にしてしまう。
別に特別な意味はないのに。
すると彼があたしの顔をじっと見た。
「あああー!…俺…ヒナとの子供が欲しかったな…」
なんて無責任な事を言う彼が、その時はとてもいとおしく感じた。
彼はあたしといる時はよく指輪を外す。
そんな事気にしないのに、彼は自分がしたくないって言って。
「人生ってなんなんだろうね…デキ婚した男ってみんないろんな葛藤を抱えて生きてるのかな」
悟るように彼が言う。
「そうじゃないと思う。きっと、結婚してよかったって人もいるよ」
「だけど…」
彼は否定する。
「俺らにはどっちかを言わなきゃいけないんだ"結婚しよう"か"おろしてくれ"か…どっちかを選ばされるんだ。そりゃ責任は俺ら男にあるけど…」
彼は悔やんでも悔やみ切れない様子だった。
「生まれてくる命に、申し訳ない…」
そう言って悲しそうに俯いた。