レモンドロップス。

◇ひかり



「あ、ちょっと待って乾君!」

乾君は待ち伏せしてたあたしを見つけて、思わずビクッとした。

「わっ!彩香ちゃん?急にどうしたの?」

「・・・いずみちゃんの行きそうな場所知らない?」



いずみちゃんを探そう、そう決めたものの、彼女の行きそうな所の心当たりはゼロ。

まあ本人と顔見知り程度だから仕方ないんだけど・・・。

とりあえず、身近で一番いずみちゃんを知っていそうな乾君を放課後に捕まえることにした。


「なんで彩香ちゃんが、いずみを・・・?」

「陽斗のこと、助けたいの。2人の昔の事情は全部聞いた。」

「そっか・・・。」

「それに・・・」

思い切って、乾君の顔を見て言った。

「早くいずみちゃんを見つけないと、菜美の気持ちも、いずみちゃんの気持ちも救われない」


乾君は案の定、ぎょっとしたように目を見開いた。

「ごめんな、元といえば全部俺の・・・」

「それはいいの。ほんとだよ?乾君のこと責めてるわけじゃないの。」

「いや、俺がもっと自分の気持ち言ってればよかったんだよな。でも・・・」

「ほんとに気にしないで。ね、心当たりないかな?いずみちゃんの居場所。」


乾君は、あたしをじっと見下ろしながら

「う~ん、俺も陽斗も心当たりはみんな探しちゃってるからなあ・・・」

そう言いつつ、あたしに知ってる限りの情報と、念のためといって自分の携帯番号を教えてくれた。


「うん、分かった。ありがと、乾君!」

急いで駆け出そうとしたあたしを

「お、俺さ!」

「え?」

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