レモンドロップス。
「みんな心配してるよ。陽斗も、乾君も。戻ってきてあげて、みんなのために」
「・・・彩香はイヤじゃないの。あたしのこと」
ドキッとした。
いずみちゃんはあたしの心を見透かすように、まっすぐ見つめてくる。
「・・・正直言うと、ついさっきまで複雑だった。いずみちゃんのこと。あたしより、陽斗と仲が良くて、陽斗を盗られそうで、怖かったの。」
あたしは思い切って言った。
「でも今は違うよ。さっきいずみちゃんが振り返ったときの顔、陽斗とそっくりだった。変な話だけど、それでやっと分かったの。やっぱり2人は兄妹なんだって。」
いずみちゃんはちょっと驚いたように目を大きくした。
「あたしと陽斗が?そんなこと初めて言われたかも・・・。」
「似てるよ。光の中で見たらホントに似てた。だからね、今は陽斗と同じくらい、いずみちゃんのこと、大事にしなきゃって思ってるよ。」
フッと、いずみちゃんが小さく笑った。
「・・・あたし、怖かった。」
「え?」
「菜美に言われたこと、心に刺さったよ」
いずみちゃんは急に土手にしゃがみこむと、あたしを見上げた。
「・・・昔から家族のこと言われてたけど、あたしには関係ないって思ってた。あたしはあたしだって」
確かに、いつもいずみちゃんはまっすぐで強い感じがしてた。
「でも、菜美に知らない間に人を傷つけてるって言われてショックだった。あたしもママと同じじゃんって」