レモンドロップス。
「それは・・・」
違うよって言おうとしたけど、言葉が出てこない。
「自分らしくしてるだけで、悪いことしてないって思ってても、それが人を傷つけてるんだなあって思って、急に怖くなったの」
ひざにあごを付けると、急にいずみちゃんの目が潤んだ。
「あたしも人を傷つける、そういう運命なのかなって思うと、これからどうしたらいいのか分からなくなって・・・」
「大丈夫だよ!」
反射的に、口からは言葉が飛び出した。
「陽斗も乾君も、いずみちゃんのこと良く分かってる。昔のことも、今のことも。全部の姿を知ってて見守ってくれる人がいるんだから、不安なときは頼ればいいんだよ」
いずみちゃんは黙って川面を見つめている。
「そういう関係って、ちょっとうらやましい。」
つい本音が漏れた。
そういうことも含めてあたし、いずみちゃんに嫉妬してたのかも。
「それに、人を傷つける可能性は誰でもあるよ。その若さでそれに気づくなんてたいしたもんだよ!」
「・・・人ごとだと思って」
そう言いながら、いずみちゃんはちょっと笑った。
夕日に照らされたその顔が、りんごみたいにふっくらと赤かった。
あたしもつられて笑う。
と、その時、
「お~い」
!
この声は・・・!