レモンドロップス。

ふいに陽斗があたしから離れた。


「ん?」

「来月は彩香の誕生日だよな」

「そうだよ~、よく覚えてたね!」


意外。

陽斗って自分が夢中になってること以外は、頭に入ってこないってタイプだから。

あたしの誕生日を覚えてくれてたってことが嬉しいよ。


陽斗は顔をしかめると、

「なめんなよ。彼女の誕生日くらい覚えてるって」

「そ、そっか・・・、失礼しました」

「その日って、土曜日だろ。ちゃんと予定を空けておくように!」

「うん、もちろん!どっか行くの?」


にやり、陽斗の意地悪な笑顔が久しぶりに飛び出した。


「秘密。まああんまりプレゼントとか期待しないで待っててくれよ」


まあお互い高校生だし、プレゼントとかサプライズとか、期待するのも申し訳ないよね。


「うん、期待しないで待ってるよ、プレゼント!」

「・・・お前、がっつり期待してるじゃん!」


そんなあたしたちを、街灯はスポットライトのように明るく照らしていた。



< 139 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop