レモンドロップス。
ふいに陽斗があたしから離れた。
「ん?」
「来月は彩香の誕生日だよな」
「そうだよ~、よく覚えてたね!」
意外。
陽斗って自分が夢中になってること以外は、頭に入ってこないってタイプだから。
あたしの誕生日を覚えてくれてたってことが嬉しいよ。
陽斗は顔をしかめると、
「なめんなよ。彼女の誕生日くらい覚えてるって」
「そ、そっか・・・、失礼しました」
「その日って、土曜日だろ。ちゃんと予定を空けておくように!」
「うん、もちろん!どっか行くの?」
にやり、陽斗の意地悪な笑顔が久しぶりに飛び出した。
「秘密。まああんまりプレゼントとか期待しないで待っててくれよ」
まあお互い高校生だし、プレゼントとかサプライズとか、期待するのも申し訳ないよね。
「うん、期待しないで待ってるよ、プレゼント!」
「・・・お前、がっつり期待してるじゃん!」
そんなあたしたちを、街灯はスポットライトのように明るく照らしていた。