レモンドロップス。
「ここ・・・?」
「そう、ここ」
って言われても、まわりは田んぼしかないですよ~。
あとは今走ってきた一本道がまっすぐ続いているだけ。
周りにはひと気がほとんどなくて、風が稲の間をサワサワと抜ける音が聞こえてくる。
「彩香、こっち」
陽斗はあたしの左手をとると、田んぼのあぜ道をスタスタ歩き始めた。
「あ、うん」
ふいに手を握られてちょっとドキドキしながら、あたしもあぜ道を進む。
誕生日だからと思って、一応おしゃれしてきたのになあ・・・。
1回しか着てないワンピース。
それに買ったばかりのブーツはまだちょっと暑いけど、かわいいから履いてきた。
まさか田んぼの中を歩く羽目になるなんて。
「陽斗、どこまで行くの・・・?」
思わず情けない声で聞いてしまうと、ぐんぐん前を歩いていた陽斗はぴたっと足を止めた。
振り向くとニヤっと笑って
「・・・彩香、目つぶって?」
え?なに??