レモンドロップス。
思わず口から出てしまった言葉に、陽斗ちらっとあたしを見た。
「そう見える?」
「うん、なんか大喜びって感じに見えないから・・・」
こんなこと言って怒るかな、そう思ったけど、陽斗はふうっと大きく息をついて笑った。
「正直、びびってる・・・ていうか不安?なんだろ、ぼんやり見てた夢が急に現実になるって、嬉しいけど、同じくらい不安な気持ちがある」
陽斗はじっと空を見上げている。
「自分の夢は夢じゃなくなる、現実になる。リアルになるんだ。それってある意味夢をなくすってことになるんじゃないか・・・」
「そうなったら、また新しい夢がはじまるよ、きっと。」
あたしにはまだこれといういう夢がない。
けど、陽斗にはいつでも夢を見ていてほしくて、必死にそう言った。
「・・・だといいな」
陽斗が突然がばっと起き上がる。
「彩香の夢は何?」
うっ、いつもタイミングよくあたしの弱点をついてくるなあ・・・。
「あたし、まだ特に夢ってないかも。もう高2の2学期だし、進路も決めなきゃいけないのにね」
偏差値的にこの大学は無理、数学は苦手だから理系の学部もパス。
・・・あたしの将来を消去法で決めちゃっていいのかな。
それって、自分で選んだって言わないよね。
これまで思っていない考えがふと浮かんだ。
「見つかるよ」