レモンドロップス。

「あ、ちょっと先生待って!」

朝礼後、出て行く健にぃをあわてて追いかけた。

「宮崎・・・、大丈夫か?」

健にぃ、お前もか!

でも、いつも元気に満ち溢れている健にぃの顔が曇っているのを見ると、やっぱり胸がぐっとくる。


「あたしは・・・大丈夫です。でも陽斗、あの、戸田くんが事故を起こしたのは無謀運転なんかじゃないと思います。なのにひとまとめにバイクを禁止にするなんて、まるで・・・。」

まるで、陽斗が悪いみたいだよ。

本人が知らない間に、学校のみんなに迷惑をかけたことになるなんて、そんなの悲しすぎる。


健にぃはちょっと困ったように、

「俺も戸田はそんなタイプじゃないと個人的には思ってるよ。でもバイクの件は上からもきつく言われてることだからな。ゆっくり解決策を考えるしかないよ。」

「そうですよね、すいません・・・。」


本当の事故の原因なんて、あたしには分からないのに・・・。

ひとりで勝手に先走って焦っても仕方ない。


担任らしく冷静な健にぃの言葉に、カッカした頭の中が少しずつ落ち着いていくのを感じた。


「宮崎は昨日、戸田に会ったのか?」

声を落として健にぃがあたしに尋ねた。

「はい、病院で・・・。でも陽斗はずっと眠っていて、話せませんでしたけど。」

「そっか、俺とは入れ違いかな?俺も昨日連絡もらって病院に行ったんだよ。そこで戸田のおばあさんとお父さんにお会いしていろいろ話を聞いてきた。」

何気なく聞いた健にぃの言葉にドキッとした。


「陽斗の、お父さんに会ったんですか・・・?」



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