レモンドロップス。

「あっ!」

今度はさっきと別のところでミス。

またまたやっちゃった・・・。


恐る恐る戸田君の方を見ると、なぜか芝生に座り込んで目を閉じている。


「と、戸田君・・・?」


「なんていうかさ・・・、間違えないように間違えないようにって、そればっかで頭いっぱいになってない?」

目を閉じたまま、あっさりと彼は言った。



うっ、あたってるかも・・・。



「間違えないことに必死になりすぎてて、演奏に余裕ない感じがする。・・・ってその顔は当たってるって感じ?」

今度は目を開けると、戸田君はあたしの顔を見て笑った。



ま、ますますあたってる・・・。

あたしは間違えないことだけしか考えられなくなってる、がちがちになってるんだ。



ていうか、そんなにあたしのことを見つめないでーっ!!


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