レモンドロップス。

耳を通り抜け、賛美歌はあたしの中にするりと入り込んできた。

歌詞一つ一つが心の底に静かに積もっていく。



心の嘆きを 包まず述べて


などかは降ろさぬ 負える重荷を



陽斗はあたしに自分の苦しみをぶつけたのかな。

本当は、もう背負ったその重荷をおろしたかったのかな。



でも、でも、あたしは受け止められなかった。

あたしには無理だった。



とたんに涙があふれた。



ごめん、陽斗。

受け止められなくて。



陽斗、ごめんね。


あたしたちは・・・もうだめなんだ。





ひざを、手を、涙が容赦なく濡らしていく。

たまらず立ち上がると隣に座っていたおばさんと目が合った。


あたしの涙に驚いたおばさんに何か言われる前に、早足で玄関に向かった。

とにかく外へ。



いつくしみ深き 友なるイエスは


われらの弱きを 知りて憐れむ


悩み悲しみに 沈めるときも


祈りにこたえて 慰め給わん




追いかけてくる子どもたちの歌声を振り切るように街に飛び出した。

冷え切った街の空気が心に突き刺さる痛み、その痛みを感じることになぜかホッとしていた。


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