レモンドロップス。
とそこに菜美の声、
「ほんと、どうしちゃったの彩香~?最近顔ゆるんでるよ??」
「おわっ!いきなり肩つかまないでよ~!」
菜美はあたしの顔を覗き込むと
「なんかいいことあったんじゃない?」
とニヤニヤ。
「べ、別に何もないよ!」
あたしはなんとなく、あの河原での出来事は菜美にも言えずにいた。
あれは、あたしと陽斗だけの思い出にしておきたかったんだ。
「そうそう、先週彩香言ってたじゃない、戸田君のこと。けっこういろいろ聞いてきたよ~」
「えっ?何か分かったの?」
「お、食いつくねえ♪」
「食いつくって、そんなあ~」
赤面しつつも、確かにあたしは食いついてた。
・・・だって、あたしまだ陽斗のこと何も知らない。
隣同士でもあんましゃべんないし、特にあいつは最近遅刻してきたり、早退したり、なんだか落ちつかないし。