レモンドロップス。


とそこに菜美の声、

「ほんと、どうしちゃったの彩香~?最近顔ゆるんでるよ??」

「おわっ!いきなり肩つかまないでよ~!」


菜美はあたしの顔を覗き込むと

「なんかいいことあったんじゃない?」

とニヤニヤ。

「べ、別に何もないよ!」


あたしはなんとなく、あの河原での出来事は菜美にも言えずにいた。


あれは、あたしと陽斗だけの思い出にしておきたかったんだ。


「そうそう、先週彩香言ってたじゃない、戸田君のこと。けっこういろいろ聞いてきたよ~」

「えっ?何か分かったの?」

「お、食いつくねえ♪」

「食いつくって、そんなあ~」


赤面しつつも、確かにあたしは食いついてた。



・・・だって、あたしまだ陽斗のこと何も知らない。

隣同士でもあんましゃべんないし、特にあいつは最近遅刻してきたり、早退したり、なんだか落ちつかないし。



< 33 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop