レモンドロップス。
ライブは始まる直前で、客席にはお客さんがたくさんでほぼ満員。
「けっこう混んでるね~」
あたしたちはなんとか真ん中の方の場所に滑り込んだ。
「菜美~、なんかあたしドキドキしてきた・・・」
「自分が歌うんじゃないのに、なに緊張してんのよ~」
菜美は笑うけど、あたしのドキドキは止まらなかった。
陽斗の歌、初めて聞けるんだ!
「たぶん、乾くんのバンド、『陽風』が前座でしょ?」
「そうだね、てことはもうす
あたしが答えたその時、会場の照明が急に暗くなった。
おおっ、周りからざわめきが聞こえてくる。
薄暗いステージに、いつの間にかバンドのメンバーが立っている。
「きたっ・・・」