レモンドロップス。

陽斗の声は不思議な声。

柔らかいのに胸にズシンと突き刺さる。


・・・あの夜、確かにあたしは陽斗の声を胸に刻んだ。




陽風の1曲目が終わると大歓声が上がった。

陽斗はちょっとバンドメンバーと目を合わせて笑うと手を上げてその歓声にこたえている。


すごいな、プロのミュージシャンみたい。

なんか遠い人みたいに感じるよ・・・。



ちょっとさみしくなったその時、陽斗と目が合った。

陽斗は笑ってあたしの方に手を振った。



ドキン

また胸が高鳴った。

陽斗、あたしのことちゃんと見つけてくれたんだ


「よかったじゃん、彩香!戸田君見つけてくれたよ!」

「う、うん!」

答えながら、まだ胸がドキドキする。

一晩で、こんなにドキドキしてて、あたしの心臓大丈夫か?!



そのとき、陽斗の視線がすうっと流れた。


< 48 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop