レモンドロップス。
陽斗の声は不思議な声。
柔らかいのに胸にズシンと突き刺さる。
・・・あの夜、確かにあたしは陽斗の声を胸に刻んだ。
陽風の1曲目が終わると大歓声が上がった。
陽斗はちょっとバンドメンバーと目を合わせて笑うと手を上げてその歓声にこたえている。
すごいな、プロのミュージシャンみたい。
なんか遠い人みたいに感じるよ・・・。
ちょっとさみしくなったその時、陽斗と目が合った。
陽斗は笑ってあたしの方に手を振った。
ドキン
また胸が高鳴った。
陽斗、あたしのことちゃんと見つけてくれたんだ
「よかったじゃん、彩香!戸田君見つけてくれたよ!」
「う、うん!」
答えながら、まだ胸がドキドキする。
一晩で、こんなにドキドキしてて、あたしの心臓大丈夫か?!
そのとき、陽斗の視線がすうっと流れた。