レモンドロップス。

あれ・・・


思わず陽斗の視線の先を見ると、フロアの一番隅に立っている女の子にぶつかった。

きれいな子が、まっすぐのロングヘアにどこかの学校の制服姿で、じっと陽斗を見ている。


誰だろう、陽斗の知り合い・・・?

急に心がざわめいた。



陽斗は不思議な目でその子を見ている。

懐かしそうな、さみしそうな目。

見詰め合う2人の空気を、あたしは見ていた。



・・・陽斗、あの子は誰?



思わずつぶやいたその声に菜美が振り返ったとき、2曲目のイントロが鳴り響いた。


それきり陽斗はその子を見ようとせず、そのまま2曲目、3曲目を歌いきった。




< 49 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop