レモンドロップス。
あれ・・・
思わず陽斗の視線の先を見ると、フロアの一番隅に立っている女の子にぶつかった。
きれいな子が、まっすぐのロングヘアにどこかの学校の制服姿で、じっと陽斗を見ている。
誰だろう、陽斗の知り合い・・・?
急に心がざわめいた。
陽斗は不思議な目でその子を見ている。
懐かしそうな、さみしそうな目。
見詰め合う2人の空気を、あたしは見ていた。
・・・陽斗、あの子は誰?
思わずつぶやいたその声に菜美が振り返ったとき、2曲目のイントロが鳴り響いた。
それきり陽斗はその子を見ようとせず、そのまま2曲目、3曲目を歌いきった。