レモンドロップス。


窓から見下ろした中庭には、桜の木が1本生えている。

さっきの花びらはその木から散ったみたい。


その桜の木の陰に、誰かがいた。




男の子だ。


見たことのない子だった。


空から差し込む光が、彼の髪の毛をキラキラ輝かせている。


さらさらで、キャラメル色のきれいな髪。


切れ長の瞳も、長いまつげも見えた気がした。


彼は桜の木にもたれかかって、散っていく花びらをぼうっと見ている。



「・・・・」



あたしはなぜか、彼から目が離せなかった。


男の子と桜の花、どちらもすごく、すごくきれいだったから・・・。



とその時、彼がふと2階を見上げた。



「やばっ!!」
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