レモンドロップス。

午後の授業が始まって、戸田君はまた姿を消した。

そういえば、最近はなんとなく心ここに非ずって感じだったなあ・・・。

まだライブの余韻を引きずっているのか、ボーっと空を見ていた。


キーンコーンカーンコーン


放課後、あたしは陽斗を探した。

かばんはあるから、まだ帰ってないはず!

善は急げというし。



ふと思い立って、陽斗を初めて見た中庭に行ってみたけど、

「やっぱいないかあ・・・。」

桜の木はもうすっかり葉桜になっていて、夕日が木漏れ日となってあたしの顔に降り注いでいる。



ふと考える。

あたしと陽斗のこと。

何の関係もない、ただのクラスメイト。

二人の間には何もない。

それでもあたしは、陽斗に会いたい、もっと話したい。




その時、思いついた。

「そうだ、空だ!」











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