レモンドロップス。
ゆっくりと唇が離れると、あたしは思わず震えた。
「陽斗?なんで・・・」
なんでキスしたの?
「知ってたよ、俺」
陽斗はあたしをしっかり見たまま言った。
「知ってた?」
「彩香が音楽を頑張ってたこと。」
・・・え、陽斗があたしを?
「1年の時さ、あの河原を通りがかったとき、友達と練習してる彩香を見たんだよ。お前は絶対気づいてないと思うけど」
(た、確かに気づかなかった・・・。)
あたしはびっくりで言葉も出なかった。