レモンドロップス。
「その時すっげえ楽しそうに演奏してる彩香を見てて、俺、なんか知らないけど自分も嬉しい気持ちになってさ」
そう懐かしそうに陽斗は言った。
「たぶん、菜美とこの前吹いたカーペンターズ練習してたのかも、でも陽斗と会ったのはてっきりあのときが初めてかと・・」
うっ、「覗き魔。」という言葉がよみがえって顔が熱くなる。
陽斗は小さく笑って、
「お前が俺を見てたとき、俺もお前を見てたんだよ」
「え!?ホントに?」
「彩香の顔が花びらの中に一瞬見えた。俺も・・・」
あたしの胸はグンと苦しくなった。
息をするのも大変なくらい。
「俺も彩香を見つけてたんだ」
そして陽斗ははっきり言ってくれた。
「俺は彩香が好きだ」