レモンドロップス。


うそ・・・



目の前の世界がぐるりと回転した気がした。



陽斗はあたしが気づくより先にあたしに気づいてた。

あたしの音楽にも気づいてた。

あたしのことを好きって言ってくれた。



「え、ウソ・・!なに、あ、ていうかあたしっ」

言わなきゃ、大切なこと。

「あたしも陽斗のこと・・・」



「知ってるよ」

陽斗はそう言うと、くしゃっとあたしの頭をなでた。



「なにそれっ、ちゃんと言わせてよ~!」

思わずほっぺたを膨らませたあたしの頭をさらにくしゃくしゃにしながら、


「ありがとな」

陽斗は笑った。




やばい、嬉しすぎる・・・!

一緒に笑いながらあたしはそんなことしか考えられなかった。

不安だった何もかもが、流れ去っていくのを感じた。



初めての恋、初めてのキス。



でも、


―陽斗。

この恋が運んでくるその後の出来事を、その時のあたしたちはぜんぜん予想もしてなかったね。




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