レモンドロップス。
「あ、なんだ健にぃ~?」
後ろには、あたしの幼馴染にして今や立派な高校教師、健にぃが立っていた。
「もうチャイム鳴ってるぞ。早く教室入れ」
「だからって、出席簿で叩かなくてもいいじゃん!暴力教師~っ」
健にぃの実家はあたしの家の裏で、小さい時からしょっちゅう遊んでもらっていた。
そのころから、子供好きだったんだよね。
歳は10歳近く離れてるけど、あたしには「先生」と言うより「健にぃ」って言う方がやっぱりしっくり来る。
「何言ってんだよ、担任に向かって。あと学校では健にぃ禁止だろ?」
「え?あたしの担任、健にぃなの?」
健にぃは大きな目であたしをにらんだ。
うっ、怖っ!
「お前、ちゃんとクラス名簿見てなかったな!ほれほれ、早く教室に入りなさ~い!」
あたしは健にぃにグイグイ押されるようにして教室に入った。