レモンドロップス。
3章 ひかりの中で
◇菜美の恋
窓の外は桜の木の緑であふれてる。
セミの声もうるさいくらい聞こえてくる。
「ふあ~、やっと終わったあ!」
教室を出ながら思わずつぶやいた。
今日は期末テストの最終日♪
テストも片付けたし(結果はおいといて・・・)、後は夏休みを待つばかりという嬉しい状況だ。
「彩香、声大きすぎだよ~」
後ろから菜美が追いついてきた。
「楽しそうだけど、テスト自信あるの?」
菜美にそう言われて思わず、
「あるわけないじゃん!テストなんて、終わっちゃえばこっちのもんだよ☆」
と答えると、
「宮崎~、そういうことはテスト結果見てから言えよ?」
こ、この声は・・・、
「健にい、地獄耳過ぎ・・・」
振り返ると、健にいがあたしたちをニヤニヤしながら見下ろしている。
神出鬼没だな~、ホントに。
「違うんですよ~竹村先生!ホントは彩香、彼氏と一緒に夏休み遊べるのが嬉しくてはしゃいでるんですよ♪」
「ちょっと!余計なこと言わないでよ~!」
菜美の言葉にあたしは顔を赤くしてあわてて反論した。
・・・まあ、菜美の言う通りなんだけどね。
夏休み、あたしは陽斗のバイクに乗せてもらうこと、陽風のライブを見に行くことを約束してた。
でも、やっぱり幼なじみで、かつ担任の健にいに知られるのは恥ずかしい・・・。