レモンドロップス。
「あたし分かんないよ・・・!」
菜美は震えながら声を強く言った。
「あの子はなんで乾くんの気持ちを知ってるのに、乾くんの目の前で戸田くんにベタベタできるの!?」
「菜美・・・」
「乾くんだって・・・、好きな子がいるなら優しくしないでよ?なんで優しくしたのよ・・・」
あたしはなんて菜美に声をかけたらいいのか、全然わからなかった。
あたしの知ってる菜美は、いつでもかわいくて明るくて、みんなから好かれてる女の子だから。
いつも光の当たるところにいる女の子だったから。
それがこんなに傷ついて、夜中に電話をかけてきてる姿を見ることが辛かった。
「菜美、元気出して・・・、あたしは何でも話聞くから・・・」
情けないけど、こんなこと言うのが精一杯だった。
「けど・・・」
必死に涙を飲み込みながら、やっと菜美が声を出した。