レモンドロップス。
そうは言うものの、やっぱり心配なものは心配なわけで。
あたしは放課後、菜美が行きそうな場所をうろついてみた。
一緒に練習した河原、テスト勉強した図書館、ライブハウスNina、などなど。
でも、菜美はどこにもいなかった。
やっぱり家に閉じこもってんのかな。
落ち込んでるときに、家に押しかけちゃうっていうのも悪い気はするけど・・・。
そう思いながら、じりじり暑い7月の夕暮れの中を菜美の家に向かった。
日はくれそうなのに、昼間の熱が足元から這い上がってくる。
菜美の家まであとちょっとという時、
「あっ!」
通りの向こうに菜美がいた。
「菜・・・」
声をかけようとして・・・、思わずためらった。
菜美の顔が見たことないくらい怖い顔だったから。
遠目から見てもはっきり分かるくらい目にクマができてて、なのにその目は強く光っている。
菜美・・・、どこ行くの?
何しにいくの・・・?
荷物も何も持たず、ドンドン早足で歩いてく菜美の後を、あたしは思わず追いかけていった。